この記事は、バリウム検査(胃のX線検査)を受ける方の不安をやわらげるための一般的な解説です。診断や治療を目的としたものではありません。私は現役の診療放射線技師ですが、体調や持病によって注意点は変わります。気になる症状や持病がある方は、検査の前に医師や担当の技師にお伝えください。
迷ったらココだけ:ゲップを我慢する3つのコツ
- あごを軽く引いて、つばをゆっくり飲み込む
- 口を閉じ、鼻で静かに呼吸する
- 体の力を抜いて、検査台の動きに任せる
👉 それでも出てしまっても、やり直しにはなりません。理由は本文で。
「バリウム検査で一番つらいのは、あの“ゲップを我慢する時間”」——検査を受けた方から、本当によく聞く声です。発泡剤で胃がふくらみ、こみ上げてくるのに我慢しなければならない。あれが苦手で健診が憂うつ、という方は少なくありません。
先にお伝えします。ゲップは、ちょっとしたコツで我慢しやすくなります。そして、もし出てしまっても検査がやり直しになることはありません。じつは「出したらどうしよう」という不安こそが、いちばんの敵なんです。
私は現役の放射線技師として、これまで数えきれないほどバリウム検査を撮影し、自分自身も発泡剤を飲んで検査台に乗った経験があります。この記事では、①なぜゲップを我慢するのか、②技師が教える我慢のコツ、③出てしまったときにどうなるか、を本音でお話しします。
なぜバリウム検査では「ゲップを我慢して」と言われるの?
バリウム検査では、白い液体(バリウム)を飲む前後に、「発泡剤」という炭酸のもとになる薬を飲みます。これが胃の中でガスを出して胃をふくらませ、胃の壁のかたちやヒダをくっきり写せるようにするためです。
ところが、ゲップをするとこのガスが抜けてしまいます。胃がしぼむと壁が写りにくくなり、もう一度ふくらませ直すことに。つまり「ゲップを我慢できると、ふくらんだ状態を保てて、検査がスムーズに早く終わる」——これが我慢をお願いする理由です。
逆に言えば、我慢は“ずっと”ではありません。必要なのは、検査台が動いて色々な向きから撮り終えるまでの、数分間だけ。ここを知っておくと、心の準備がぐっと楽になります。
検査当日、ゲップを出にくくする小さな準備
検査台に乗る前にも、ゲップを出にくくするためにできる準備があります。むずかしいことではありません。
- 前夜から当日は炭酸飲料を控える:お腹に余分なガスがたまりにくくなります
- 当日の朝は早食い・一気飲みを避ける:空気を一緒に飲み込むと、ゲップのもとになります
- 検査の直前に一度ゲップを出しておく:飲み込んだ空気を先に出しておくと安心です
- 発泡剤は指示どおり、ゆっくり飲む:あせって流し込むと、よけいにこみ上げます
とはいえ、いちばん効くのは前日の食事より“当日の落ち着き”です。あわてず、ゆっくり構えて臨みましょう。
【技師が教える】ゲップを我慢する5つのコツ
現場で「これをすると楽になりますよ」とお伝えしているコツをまとめます。全部やる必要はなく、自分に合いそうなものを1つ2つ試すだけでも違います。
- あごを軽く引く:上を向くよりも、ゲップが上がってきにくい姿勢です
- つばをゆっくり飲み込む:飲み込む動きが、こみ上げをおさえてくれます
- 口を閉じ、鼻で静かに呼吸する:あわてて口で息をすると、ガスが上がりやすくなります
- 体の力を抜く:お腹に力が入るとゲップを誘います。台の動きに身を任せて
- 飲んだらすぐ動かない:発泡剤を飲んだ直後の急な動きは禁物。技師の合図を待ちましょう
アルコツを覚えることより、「少しくらい出ても大丈夫」と知っておくほうが、力が抜けて逆に我慢しやすくなりますよ。
それでもゲップが出そう…そんなときは
コツを試しても、こみ上げてくることはあります。そのときは、無理にこらえて苦しくなる前に、「出そうです」と技師に声をかけてください。がまんくらべではありません。
撮影の合間の、ふくらみが十分なタイミングなら、少しくらいのゲップは問題にならないことも多いです。技師は胃のふくらみ具合を見ながら撮っているので、遠慮なく伝えるのがいちばんの近道です。
【技師の本音】ゲップが出ても、やり直しにはなりません
撮影する側として正直にお伝えすると、検査中にゲップが出る方は毎日のようにいます。それでやり直しになった、という記憶はほとんどありません。
ゲップで少しガスが抜けても、足りなければ発泡剤を追加して調整できます。だから技師は、ゲップそのものより「お腹の力が抜けているか」を見ています。「出したら失敗」ではないと知っておくだけで、体の力が抜けて、かえって我慢しやすくなります。



「げっぷして笑われないかな」と気にする方が多いですが、こちらは毎日たくさん撮っています。まったく気にしなくて大丈夫ですよ。
ついでに解消:ゲップまわりの小さな不安
検査台の上では、ゲップ以外にも「これって我慢するの?」という小さな疑問が浮かびます。よくあるものを先に解消しておきましょう。
- おなら:我慢しなくてOK。腸のガスは検査に影響しません
- つばの飲み込み:問題なし。むしろゲップ予防になります
- 発泡剤の追加:足りなければ足すのは普通のこと。失敗ではありません
検査そのものが不安な人へ
「ゲップだけでなく、そもそもバリウム検査が初めてで怖い」という方は、飲む量や台が回る不安まで技師の目線でまとめた初めてのバリウム検査が怖い人へもあわせて読んでみてください。
また、「毎年これがつらい。いっそ胃カメラのほうがいいのでは?」と迷っている方は、費用やつらさを両方の現場を知る技師が比べたバリウムと胃カメラ、どっちがいい?が参考になります。
よくある質問(バリウムのゲップ)
- ゲップを我慢できずに出してしまったら、検査はやり直しですか?
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いいえ、すぐやり直しにはなりません。技師が胃のふくらみを見て、足りなければ発泡剤を少し足して調整します。一度出たくらいで慌てなくて大丈夫です。
- 発泡剤を飲んだあと、どのくらいゲップを我慢すればいいですか?
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ずっとではなく、検査台が動いて各方向から撮り終わるまでの数分間です。撮影そのものは5〜10分ほどが目安になります。
- おならは我慢しなくていいのですか?
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我慢しなくて大丈夫です。腸のおならは検査に影響しません。こらえるのは胃のガス(ゲップ)だけで十分です。
- ゲップをすると技師にあきれられたり、笑われたりしませんか?
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そんなことはありません。毎日たくさんの方を撮っていて、ゲップはよくあることです。「出そうです」と遠慮なく声をかけてください。
まとめ:いちばんのコツは「出ても大丈夫」と知ること
バリウム検査のゲップは、コツと「出ても大丈夫」という安心で、ぐっと楽になります。最後に要点を振り返ります。
- 発泡剤で胃をふくらませて撮るので、ゲップを我慢すると検査がスムーズ
- コツは「あごを引く・つばを飲む・鼻で静かに呼吸・力を抜く」
- 我慢は数分だけ。ずっとではない
- 出てしまっても発泡剤を足して調整できるので、やり直しにはならない
- おならは我慢しなくてOK
いちばんのコツは、「少しくらい出ても大丈夫」と知っておくこと。力が抜けて、かえって我慢しやすくなります。深呼吸して、リラックスして受けてきてください。
参考にした公的機関の情報
- 国立がん研究センター「がん情報サービス」(胃部エックス線検査)
- 厚生労働省「がん検診」(胃がん検診の解説)




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